免震スタックベローズー Seismic Joint ー

強度検証

免震継手の各強度はEJMA(Expansion Joint Manufactures Association)式により評価しています。
強度検証は、作動時に発生する各部応力から繰り返す疲労寿命を検証するものですが、免震継手のように山数が多い製品やベローズ層数が異なる製品、端部に小山を設けた特殊な形状の製品になります。
EJMA式はJISにも採用される信頼性の高い寿命評価式ですが、当該ベローズの様にいくつかのベローズを連結した構造に適用するにあたり、事前にFEM解析で各部に発生する応力を比較検証することで有効性を確認しました。

免震ベローズの弾性解析

1目的

免震ベローズ(※ベローズ)は数個の単式ベローズを組み合わせて、軸直角方向に変位する特殊な構造です。
変位(応力)がベローズの両端部に偏ったりしていないか、計算値との相違がないか、ベローズ層数や山形状による影響はどの程度かについて事前検証しました。
最大変位600mm軸ずれしたときにおける、ベローズ各部に発生する弾性応力を有限要素法(Finite Element Method)を用いて解析しました。

2解析結果

水平方向変位δy分布

鉛直方向変位δz分布

水平方向変位δy

鉛直方向変位δz

3結果

全1層ベローズと両端2層ベローズについて、軸直角方向に600mm軸ずれした場合に生じる弾性応力をFEMを用いて解析した。
その結果より、±600mmの軸ずれが繰返された場合を考えると次のことが言える。

①全1層ベローズでは、両端ベローズBの応力振幅が最大となる。

②両端2層ベローズでは、中間ベローズAの応力振幅が最大となる。

③全1層ベローズと両端2層ベローズの最大応力振幅を比較すると、 次のようになる。
(全1層ベローズのベローズ部1070MPa)<(両端2層のベローズ部1073MPa)

④ベローズ溶接部に発生する応力は、ベローズ山部・谷部に発生する応力よりは小さい。

⑤全1層ベローズと両端2層ベローズにおいて、ベローズ溶接部の最大応力振幅を比較すると、次のようになる。
(全1層ベローズの溶接部131MPa)<(両端2層ベローズの溶接部171MPa)

4まとめ

金属ベローズの繰り返し寿命は、作動時に発生する最も高い応力で評価します。
EJMA式による計算によって算出した応力とFEMでの解析した応力は近似する結果となり有効性を確認できました。
構造についても、ベローズ両端に小山を設けた形状、連結した形状でスムーズな変位吸収ができること、ベローズ端部の溶接部の強度についても問題ないことを確認しました。

全1層ベローズの軸応力δz分布